3Dシミュレーションソフトを活用した品質向上と生産性向上に関する取組みのご紹介(鋳造~加工までの一貫生産現場への展開事例)

2018年5月9日

 当社は、これまで、エネルギー・半導体・産業機械をはじめとする様々な分野に対し、精密から大物部品加工まで幅広く対応してまいりました。
 近年は短納期化、低コスト化、高品質・高付加価値化を目的として設計段階のみならず製造段階においても3Dデータを活用したコンピューター上のシミュレーション技術(CAE)の活用が注目されております。製造の上流工程にて不良・不具合やトラブルの事前予測をすることで製造プロセスのあらゆる“ムダ”を排除し、ハイレベルなQCD製品をご提供いたします。

<社内生産現場における3D/CADデータ活用事例>

 1.鋳造不具合の予測ツールとしての活用
   3D図面データを基に加工代と湯道方案を追加し、湯流れ解析による方案の最適化や
   重量計算の簡略化の他、酸化物の巻き込みや引け巣不良といった鋳造不具合の予測
   ツールとして活用いただけます。これまで担当者の経験則に依存していた要素が数値
   評価に置き換わり、鋳物素材の内部欠陥減少による品質改善に寄与いたします。

 2.加工工数短縮と省人化への活用
   対象部品の3Dモデルデータを用いて工作機械の動作を模擬検証するNCシミュレーション
   を行なう事で、従来必要としていた1工程ずつ確認しながら加工を行なうプルーブアウト工程
   を省略し、工数短縮や省人化へ展開いたします。

 本活用事例は、5月17日(木)から19日(土)まで弊社沼津工場(本社)・御殿場工場で開催されます『第16回東芝機械グループソリューションフェア2018』にて、ご覧いただけます。

3Dデータの活用事例

●3Dデータの活用方法

 加工代の追加、鋳造方案(溶かした鉄の流し方)作成

 ・重量計算の簡略化が可能
 ・造形手順作成の補助、形状の確認が可能

●シミュレーション解析(湯流れ)

 溶湯の流入過程、溶湯温度の変化を確認

      流入する溶湯の温度と流れをシミュレート

 ・溶湯の温度低下を確認⇒湯まわり不良の防止
 ・流入速度、乱流の確認⇒酸化物生成、巻き込みの防止

●シミュレーション解析(酸化物巻き込み)

入口から流入する酸化物を想定し、流動経路、終着点を確認

      入口より流入する酸化物をシミュレート

 ・酸化物が製品部へ流入しない方案の検討が可能
 ・流入した酸化物の出口を最適箇所に設定可能


<実用例>
シミュレーション結果より入口に一番近いスリーブから流入すると判断し、距離をあけた方案を作成

 方案変更により、酸化物の流入を防ぐことが可能

●シミュレーション解析(温度変化)

注湯後の温度から凝固終了までの温度変化を確認

   鋳造凝固時の内部温度変化をシミュレート(断面図)

 ・急冷箇所の有無を確認可能⇒材質不良の防止
 ・最終凝固部の確認⇒引け巣発生箇所の推定

●シミュレーション解析(引け巣発生予測)

冷却速度、最終凝固部より算出される、引け巣発生危険域の確認


 ・冷し金による冷却制御、肉厚の調整による最終凝固
  位置の変更が可能

●シミュレーション解析(カラーリング)

各スリーブから流入する溶湯の量、流入速度を確認

      各スリーブから入る溶湯を色分けし表示

 ・色ごとの体積を測定し流入量の差異を確認
  ⇒フィルターの通過上限の見極めが可能

●シミュレーション(鋳型内温度)

鋳型内の温度分布、温度変化を確認

           型内の温度変化をシミュレート

 ・鋳型内高温部を確認
  ⇒耐火塗料を塗布することで砂が焼けて製品に着いて
   しまう焼着き欠陥を防止

●NCシミュレーション

作成したプログラムをPC上でシミュレーション

            プログラム干渉チェック

 ・機上プルーブアウトからPC上プルーブアウト(*)
  による効率化
  ⇒プルーブアウトレスによる初回品加工時間短縮と
   省人化を実現

 *最初の工作物はシングルブロック運転で準備された
  取り付け具、工具、刃具、プログラムデータの指令
  位置、切削緒元などが適正かどうかを確認しながら
  加工する一連の作業の事。

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